ややこしい海外債券投資。それ、私が説明します

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難解な海外債券投資

海外債券の投資判断、難しくないですか?
なんだか金利だとかインフレだとか専門用語が出てきて、小難しくないですか?

比較的安全資産と言われる海外債券ですが株価との相関性や各国の金利水準など何を指標にして購入したらいいのかわかり難いですよね。

私もそうでした。
でもいくつかポイントを押さえれば少し視界がクリアになります。

海外債券投資、私が説明してみます。

海外債券は金利/物価/為替の三つの力学で考える

海外債券は金利/物価/為替の3つのファクターで動いていると考えましょう。
その為にはまず下の公式を頭に入れます。シンプルです。なにも難しくはありません。

・インフレ→債券価格低下(利回り上昇)

・デフレ →債券価格上昇(利回り低下)

・インフレ(物価高)→通貨安

・デフレ (物価安)→通貨高

これだけ抑えていればどうにかなります。
どうにかなるどころかこの力学がきちんと理解できれば、今まで以上に金融市場について深く洞察する事が出来るはずです。

公式に当てはめてシュミレーションをしてみる

次は円ベースで海外債券に投資したシュミレーションをしてみましょう。
上記に書いた公式を見ながらやってみます。

ここでは新興国であるインドネシア債券に投資したとしましょう。

例)利回り10%のインドネシア債券に1万円投資をする。
為替は10,000ルピア=100円とし、現地インフレ率は年10%、国内インフレ率は0%とする。

まず1万円投資して100万ルピア分の債券を買います。買えましたか?
利回り10%なので1年後には110万ルピアになりますね。

為替はインフレでどうなった?

次に通貨を見てみます。
投資した時点では為替10,000ルピア=100円でしたがインフレの影響で一年後に11,000ルピア=100円になりました。
わかりにくい場合は上の公式を見直しましょう。インフレは通貨安です。

円に比べて相対的にルピアは安くなってますね?

まとめます。
・債券利回りによって100万ルピアから110万ルピアに増えた。

・インフレによって為替が11,000ルピア=100円になった。

・その結果110万ルピアは1万円になった。

という事になります。

海外債券利回りはインフレ率を食う

このケースの場合、初めに投資した1万円は一年後も1万円のままという事です。
これが債券利回りとインフレ率の関係であり「海外債券利回りはインフレ率を食う」という事です。

これは 実質金利=名目金利ーインフレ率 ともあらわされます。

新興国債券の表面利回りがいくら高くてもインフレ率を見ないと円ベースでの実質利回りが見えてこないのはこの為であり「この事こそ海外債券投資を難しくしている」一点なのです。

為替は常に市場効率的か?

※ここは少し話が込み入ってくるので飛ばしてもらっても大丈夫です。
ここで言う購買力平価とは外国で食べるビッグマックと国内で食べるビッグマックは同じ値段になるような圧力が常に為替取引でかかっている、と考えてみればわかりやすいです。

為替というのは通貨と通貨の交換を指します。市場が効率的なら購買力平価により「各国のインフレ率は通貨の交換時に織り込まれて」プライシングされます。

通貨交換時に各国のインフレ率が完全に織り込まれた場合は円ベースでの海外債券と国内債券の期待リターンは概ね変わらないという結論になります。これは 某有名経済アナリストが説いている海外債券不要論の骨子となる論旨だと思います。

これに対する海外債券必要派(自分を含めた)の反論はシンプルです。為替市場は短期間で超効率的に全ての情報(インフレ率)を織り込んでいないから海外債券投資で妙味が出るというモノです。
また、事実として投資利回りが出ているから海外債券が多くの国内投資家の投資対象になっているのです。

いろんな人が誤解している海外債券投資

巷に溢れる個人YouTuberの投資塾的なチャンネル、ありますよね。
テーマとして海外債券を取り扱っているモノがいくつかあったので内容を確認してみました。

全ては見ていませんがおおよそ大体の論調は以下の通りでした。
・先進国債券は低金利で金利低下余地が小さいので期待リターンが低い
・新興国債券は高金利で金利低下余地が大きいので期待リターンが高い

金利と債券という一軸のみで論旨展開するとこういう誤解に繋がりますし、おそらく海外債券投資における典型的な誤解パターンの一つでしょう。
こういった主張をされる方々は物価変動と債券の関係をまだそこまで理解してないものと思われます。

結論:海外債券とインフレ率はセットで考える

以上の事から海外債券とインフレ率はセットで考えないと実際の利回りが出てこないという事が結論になります。

ちなみに先進国のインフレ率と新興国のインフレ率の格差は平均値ベースでおおよそ2%程度と言われています。先進国のインフレ率が2%としたら新興国のインフレ率は平均値ベースでおおよそ4%程度に着地するという事ですね。

これは債券表面利回り(あえてそういう表現を使います)から引くパラメータの参考値として知っておいても良いかもしれません。

少し長くなったので今日はここまでとします。
機会があれば次回は米ドル建ての債券ETFについてあれこれ書ければと思っています。

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